高橋 正美

優れた先人たちの技を吸収し、独自に樺細工を学んだ
生地ものに秀で、清潔感あふれるものづくりが持ち味
全国青年伝統工芸展に入賞するなど、着実な歩みを続けている

樺細工を始めたきっかけは何ですか?

最初は自分が樺細工の職人になるとは思ってもみませんでした。 祖父が表具師(布や紙を張り、掛け軸や巻物などを仕立てる仕事)をしていたので、自分も将来は同じ仕事をしたいと考えていました。 しかし、表具店に申し出たところ、7年間の丁稚奉公をしなければ仕事ができないと言われ、家族のことも考えて断念せざるを得ませんでした。
これから何をやろうかと考えているときに、たまたま近くで開催されていた樺細工の講習会に参加し、樺細工に興味を持ちました。 小さい頃から祖父の仕事を見ていて、ものづくりは好きだったので、一大決心して樺細工の道に入りました。

はじめは大変だったのではないですか?

右も左も分からないところからのスタートだったので、最初はかなり大変でした。 材料となる山桜の皮を借金して購入し、作り方は他の職人さんに話を聞いたり、作業を見せてもらったりして覚えました。家族を養うために、とにかく早く収入を得る必要があったので、樺細工の展示会や即売会などに積極的に出品して腕を磨きました。

樺細工を作る上で、どんなことが重要ですか?

樺細工では、山桜の皮の表面を削って色を出していくのですが、削り方によって色味や風合いが大きく変わるので、削る前に皮の表面をよく観察して、最適な削り方を熟考します。 山桜の皮は、木の立地条件や風当たりなどで色が変わるため、同じものは二度と手に入れることができません。 材料は自然のものなので限りがありますし、安いものではないので、自分の所持している皮をいかにキレイに魅せるかが重要です。

仕事を始めた頃は、バブルで日本の景気が良くなってきたときでしたが、樺細工の職人は師匠に弟子入りして修行するのがほとんどで「師匠がいないから」という理由で商品を買ってもらえないこともありました。
さらに家業で農業もやっていたため、両立には随分苦労しました。
ですが、樺細工も農業も、ものづくりという点では同じですし、自分が思いを込めて作った商品が店頭に並べられているのをみると、嬉しくて続けることができました。 当時はご依頼をいただいて、山桜の皮をグランドピアノに貼ったり、切り絵風に貼ったモニュメントを作ったりなど、やれることは何でもやりました。

どんな事にこだわっていますか?

見えない部分の加工にもこだわって、商品が長持ちするように工夫しています。 正直時間はかかるし手間も増えますが、購入してくださったお客様にいつまでも寄り添うことができる商品であってほしいと思うので、欠かすことはできません。

経 歴

昭和24年 9月16日生まれ
昭和50年 独学で樺細工に従事
平成14年 伝統工芸士の認定を受ける

主な受賞歴

昭和58年 第3回全国青年伝統工芸展 NHK京都放送局局長賞
平成14年 第30回角館町樺細工伝統工芸展 伝統的工芸品産業振興協会会長賞・角館町特産品振興育成協会会長賞
平成15年 第31回角館町樺細工伝統工芸展 特別賞

伝統工芸士のご紹介

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