経徳 明夫

祖父、父ともに樺細工の名工
連綿と続く経徳家の系譜の中で腕を磨き
伝統の中に新境地を開いた独自の作品を作り続けている

樺細工を始めたきっかけは何ですか?

最初から樺細工の道に進もうと思っていたわけではありませんでしたが、3人兄弟で自分は大学に行くことができませんでした。 小さい頃からものづくりは好きでしたし「樺細工もいいかな」と思い、高校を出て樺細工職人の父(経徳正三)に弟子入りしました。

「よくできた」と満足できる作品はどれくらいありますか?

自分が満足できた作品は今までにたった1つしかありません。 山桜の皮は自然のものなので、同じものは一つとしてありません。 そのため、1つ1つの皮が一番きれいに見える状態になるまで削ってから加工します。その作業が難しく、削りすぎてもダメだし、削りが足りなくてもいい色が出てこないんです。 また、実際に皮を貼ってみてから「この場所には、この皮を貼ればもっといい仕上がりになったのに」と思うことが未だにあります。 削り具合もバッチリ。皮の貼る位置も完璧。と自負できる作品は今までに1つだけです。

樺細工の作業工程は昔と変わっていますか?

今と昔で比べても、樺細工の作業工程はほとんど変わっていません。やはり昔から受け継がれてきた作り方が一番理にかなっている気がします。

樺細工の表面の光沢はどのようにして出しているのですか?

伝統工芸品として販売される樺細工の商品には、仕上げにワックスを入れて光沢を出します 桜の皮の特徴で、5年から10年経過すると、皮から天然の油が出てくるので、柔らかい布で樺細工の表面を磨いてもらうと、自然な光沢が出てきます。 皮の色も深いアメ色に変化してくるので、使い込むほどに味わい深い仕上がりになってきます。 ぜひ、5年、10年と使い続けていただいて、色や光沢の変化を楽しんでもらいたいです。

いい作品を生み出すために一番大切にしていることは何ですか?

自分の身体、体調管理には特に気をつけています。 「当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、体調に少しでも変化があると、作品にも影響が出てきます。それだけ繊細な作業が多いのです。健康第一という言葉がありますが、本当にそのとおりだとこの歳になると感じますね。 技術があっても、身体がしっかりしていないと、いいものづくりはできません。今まで培ってきた技術をしっかりと発揮できるように体調には特に気をつけています。

経 歴

昭和40年 県立角館高等学校卒業。合資会社経徳製作所入社。父 経徳正三に師事
平成12年 伝統工芸士に認定
平成18年 秋田県優良技能者(秋田県知事表彰)
平成25年 厚生労働大臣表彰 卓越した技能者(現代の名工)

主な受賞歴

昭和54年 第7回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
昭和55年 第8回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
昭和55年 第22回秋田県美術展覧会 入選
昭和56年 第23回秋田県美術展覧会 入選
昭和59年 第26回秋田県美術展覧会 入選
昭和59年 第12回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
平成12年 第28回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
平成14年 第30回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
平成15年 第28回全国伝統的工芸品展 入選
平成16年 第29回全国伝統的工芸品展 入選
平成16年 第32回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
平成17年 第30回全国伝統的工芸品展 入選
平成17年 第33回角館町樺細工伝統工芸展 知事賞
平成23年 角館町樺細工伝統工芸展 殿堂入り
平成24年 全国伝統的芸能品公募展「書簡箱 雅」 経済産業省商務情報対策局長賞受賞
平成25年 全国伝統的芸能品公募展「総皮茶筒たたみ貼り(綴り)」 経済産業省商務情報対策局長賞受賞

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