藤村 浩美

藤村家は堅義、志登磨、浩美と三代に渡り樺細工工人を輩出
また、親子二代の伝統工芸士も樺細工界では初めて
父譲りの茶筒作りに定評があり、若手工人のまとめ役としても活躍している

樺細工を始めたきっかけは何ですか?

家が樺細工職人の家系で、私はその3代目にあたります。小さい頃から樺細工の作業風景を間近に見て育ちました。 はじめはサラリーマンとして働きに出ましたが、樺細工への思いがどうしても捨てきれず、20代後半で、父(伝統工芸士 藤村志登磨)に弟子入りし、3年間修行させてもらいました。

今まで大変なことはありましたか?

樺細工の基本的な作り方を学んだあとは、ひたすら研究の毎日でした。 山桜の皮は湿気を吸うと膨張する性質があるため、ぴったりの大きさで作ると、そのときは良くても後から大きさが合わなくなってしまいます。
自然のものを扱うので、規格通りにモノを作れば良いというわけではないのです。微妙な調整ができるようになるまでは、寝る間も惜しんで作業していました。 その甲斐もあって、今では皮の状態を見ながら、その皮の特徴を最大限に活かせるようなものづくりができるようになったと感じています。

一番難しいと感じる作業は何ですか?

茶筒で言うと、フタの内側を削る作業ですね。
削りすぎるとフタの閉まりが悪くなり、湿気も入りやすくなってしまいます。反対に削る量が少ないと、フタがキツくて使いづらい商品になってしまいます。少しずつ慎重に削り、何度もサイズ合わせを行いながら仕上げていくため、時間もかかる作業です。

茶筒を一本仕上げるためにどれくらいの日数がかかりますか?

材料となる山桜の皮を、寝かせて乾燥させる時間もあるので、商品が数日で完成することはありえません。 数週間、長いときは数ヶ月かけて一つ一つの工程を丁寧に進めていきます。手間はかかりますが、より美しく、より長持ちする商品をお客様の手元に届けるために日々奮闘しています。

経 歴

平成 4年 父である伝統工芸士 藤村志登磨へ師事
平成 7年 独立
平成20年 伝統工芸士に認定

主な受賞歴

平成 7年 第23回角館町樺細工伝統工芸展 新人賞
平成28年 第44回角館町樺細工伝統工芸展 秋田魁新報社賞

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